日本老視学会 第5回学術総会
The 5th Annual Meeting of Japan Presbyopia Society
ご挨拶
日本老視学会 第5回学術総会 会長 平岡 孝浩
(筑波大学医学医療系 眼科)

このたび、日本老視学会第5回学術総会を主催させていただく運びとなりました。まず初めに、このような貴重な機会をお与えいただきました根岸一乃理事長をはじめ、ご支援くださる理事の皆様、そして本学会を支えてくださる会員諸氏および協賛企業様に心より御礼申し上げます。
本学会は設立以来、老視研究の発展と老視診療の質的向上を使命として、第1~4回総会において確かな学術的基盤を積み上げてきました。その歩みは、臨床家・研究者・産業界が垣根を越えて連携し、本邦における老視医療の未来を力強く切り拓いてきた証であると感じております。
第5回となる今回は、その蓄積を新たな出発点とし、「老視克服への新たな冒険」をテーマに掲げました。これは、未だ解き明かされていない多くの課題に向き合い、次なる可能性を皆様と共に創り出していきたいという強い願いを込めたものです。
老視矯正の基本は、言うまでもなく眼鏡やコンタクトレンズです。しかし、PAL眼鏡や多焦点ソフトコンタクトレンズは依然として発展途上であり、視覚の質(QOV)や生活の質(QOL)をより向上させるために、さらなる技術的洗練が求められています。また、多焦点IOL・ICLに代表される明視域拡大のアプローチも着実に進展しておりますが、いまだ「完成形」と言える段階ではありません。
さらに、手術的治療にも理想には程遠い課題が残り、薬物療法による水晶体軟化・調節力回復といった革新的手法も大きな期待を集めているものの、実用化された有効薬は未だ登場しておりません。現状では縮瞳による焦点深度拡張点眼薬のみが臨床応用されているに過ぎず、克服すべき壁は多く残されています。
では、いかに理想形に近づくのか。どの方向へ研究と臨床を進めるべきなのか。希望の光はどこに見出されるのか。
これらの問いに真正面から取り組むべく、本総会では多彩なシンポジウムや教育講演を企画いたしました。老視研究のみならず、屈折、白内障、コンタクトレンズ、アンチエイジング、眼光学、視覚神経科学など、多領域の最新知見を融合しながら議論を深める場としたいと存じます。
なお、本総会のポスターに描かれた4名の人物は、老視をめぐる多様な現実と希望を象徴しています。右上の人物は、老眼により見えづらさを感じて不満げな表情を示し、左下の人物は見えにくさに涙を流しています。一方、右下の人物は累進タイプの多焦点コンタクトレンズの見え方に驚き、左上の人物は老眼鏡により鮮明な視界を得て感動した様子が描かれています。これらは、老視に直面する患者の多様な体験と、我々が取り組むべき課題と未来の可能性を象徴的に表現したものです。
本総会が、老視克服への新たな航海に向けて、学際的対話と革新的発想が交差する「知の冒険」の場となることを願ってやみません。皆様にとって、次なる研究の指針や臨床へのヒントを見出していただける、有意義な二日間となることを切に期待しております。
多数の皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。
